人は一度決めたことをなかなか変えないものです。
ずっと昔に入った保険にそのまま加入していたり、会社で仮に決めた規定を何年もそのまま使っていたり、同じ店や美容院に通い使い続けたりします。
以前決めた意思決定にそのまま従い続けているということは、誰でも、思い当たるのではないでしょうか?
しかし、私たち自身も、世の中も変化し続けているので、以前の意思決定が、現状には適さないということが必ずあるはずです。
ですから、現状に照らし合わせて見直しを行えば、必ずメリットがあります。
なぜ、なかなか変えようとしないのか?
頭ではそんなことはないと理解はしていても、誰もが、今の状態がそのまま続くはずだという偏見、「現状維持バイアス」を持っています。
今の状態がそのまま続くのであれば、情報収集や検討、試行錯誤などをする必要がなく、何も変える必要がないので、エネルギーを節約できます。
無意識に現状維持バイアスが働いているので、現状に合わせて変えなければいけないとは考えないのです。
アメリカの年金や保険を扱う保険会社の調査によると、契約者のほとんどは、一度決めたプランを二度と変更しないと言います。たとえそれがどんなものであろうと、最初に契約したプランに固執し、まったく見直そうとはしないそうです。
良くあるケース
1.必要だと思って始めたけど、実は不要だったこと
私たち人間は、未来を予想するのが苦手なので、始める前は必要だろうと思っても、やり始めたら、必要なかったということが良くあります。
知人は、事務所を建てたときに、その地域は治安が悪いとの噂があったので、
セキュリティシステムに加入しました。
結局、数年たっても何の問題もなく、治安が悪いということも感じなかったそうですが、
私が指摘するまで、何も考えずにセキュリティシステムの契約を更新していたと言っていました。
言われて考えてみたら、セキュリティのセット・解除や、夜間までいるときには連絡が必要だったり、不便が多く、そもそも取られるようなものも置いていないので、セキュリティシステムは不要だったと気付いたようです。
2.目的を忘れて行動だけが習慣となり、惰性で行っていること
繰り返し行うことは習慣になります。
目的を持ってやり始めたけれど、効果が得られなかった。
でも、行動だけはそのまま続けているということがあります。
その場合、本来の目的から外れた、無目的な行為になってしまいます。
例えば、ダイエットのためにフィットネスクラブに通い始めたけど、体重が減らない。
ダイエットの効果が得られなかったが、
知り合いも出来たので、なんとなく、習慣で通っている。
このような場合は、目的意識は消えてしまっています。
ダイエットという目標のために、他のことを行う必要があるでしょう。
3.かつては必要だったけど、今は必要ないこと
人は一度モノを所有すると、所有する以前より、
それを高く評価するようになるという「保有効果」という心理があります。
モノをなかなか手放せないのは、この心理が大きく働いているためです。
例えば、もう何年も着ていない服でも、捨てずに持っているのも、
この心理が働いています。
知人は、職場に通う目的で車を買いましたが、
今は会社が移転して電車通勤になり、車にほとんど乗らなくなりました。
月に一度も乗らないと言っていましたが、とりあえず所有しています。
自動車税、駐車場代、車検など維持費はかかりますが、気にもしていないようです。
これも、一度所有するとなかなか手放すことのできない例です。
一度所有すると、モノの価値を過大評価してしまうということを自覚し、
「今、本当に必要なのか?」を、再確認する必要があります。
改善策
行動や契約など、過去の意思決定によって行われていることが、
今の自分にとって必要かどうかを再確認します。
「役に立っているのか?」
「これは本当に必要なことなのか?」
「今の私に合っているのか?」と自問して、
「今の自分」に焦点を当てて、見直しを行いましょう。
そして、「やめる」「改善する」「維持する」を決めましょう。
普通に生活をしてたら、見直しをしようなどとは考えないので、
見直しを行う日を定期的にスケジュールに組み込んでおくと、
忘れることがないでしょう。
まとめ
無駄をなくすために、定期的に、今現在の自分に照らし合わせて、
行動や契約を見直す習慣を付けましょう。
現状を見直すことにはエネルギーが必要ですが、
使ったエネルギー以上の見返りが得られます。
定期的に見直すことを忘れないように、見直しを行う日を、
事前にスケジュールに組み込んでおくことをお勧めします。
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