あなたは「Win-Win(ウィンウィン)」と言う言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「Win-Win(ウィンウィン)」という言葉は、ビジネス書のベストセラーである「7つの習慣」(スティーブン・R・コヴィー著)で広く一般に知られるようになった経営学用語です。
「Win-Win」とは、その文字の通り「自分も勝ち、相手も勝つ」取引や関係のことを指します。
取引によって、どちらかが勝ち、どちらかが負けるのではなく、双方が勝者になることを目指すという考え方です。
人間関係の6つのパラダイム
前述のビジネス書「7つの習慣」には、「Win-Win」を含め、下記のように人間関係における6つの考え方が登場します。
・「Win-Win」自分も相手も勝つ
・「Win-Lose」自分が勝ち、相手が負ける
・「Lose -Win」自分が負け、相手が勝つ
・「Lose -Lose」自分も相手も負ける
・「Win」自分が勝つ
・「Win-Win or No Deal」自分も相手も勝つ。それが無理なら、取引しないことに合意する
Win-Winの関係を築くには、自分のやり方でもなければ、相手のやり方でもない、もっと良い方法がないかと模索する必要があります。
常にWin-Winの取引ができれば理想的ですが、現実にはそうも行かないときもあります。
そこで、Win-Winの取引ができそうもない場合は、No Deal(ノー・ディール)つまり、取引しないという選択肢も念頭に置いておくことが重要になります。
お互いにとって最も良い方法を探したけれど、それでもお互いにとって満足できそうもない場合は、取引しないことが、お互いにとって有益になります。
Win-Win以外で無理に取引しても、経済的、関係性、満足度などにおいて遺恨を残すことになるからです。
2つの行動規範
世の中の行動規範を、「社会規範」と「市場規範」の2つに分けて考えると、人間関係がうまくいきます。
「社会規範」というのは、社会的なつながりや、愛情や友情などの関係性を基にした判断基準です。
「市場規範」というのは、金銭的なつながりや、ビジネス関係を基にした判断基準です。
社会規範と、市場規範は相容れないもので、これを混同するとトラブルが生まれます。
例えば、友人の家で食事をご馳走になるので、手土産としてお菓子などではなく、「現金」を持って行ったらどうなるでしょうか。社会規範で動いている友情の世界に、市場規範である「お金」を持ち込むと、人格が疑われ、友情にヒビが入ることになるでしょう。
あるいは、ビジネスの取引に、深い友情や愛情などの親密な関係が生まれれば、いわゆる「なあなあの関係」になってしまい、ビジネスが成り立たなくなってしまいます。
つまり「社会規範」と「市場規範」を分けて考えて行動した方が人間関係はうまくいくものなのです。
特に市場規範の世界では「Win-Win以外はNo Deal」を徹底すべし
家族、友達、恋人を中心とした社会規範の世界では、Win-Winだけでなく、相手のためにLose-Winの関係を取ることもあるでしょう。
自分には一切メリットがないけれど、相手の役に立つのならと良いと考えて、利他的に行動するのは、社会規範の世界では良くあることです。家族、友達、恋人間ではそうしないとうまく行かない場合もあります。
自分のメリットがなくても家族や友達、恋人を助けるのは良いことです。
持ちつ持たれつの関係である社会規範の空間では、必ずしもWin-Winでなくてもいいのです。
しかし、ビジネスなどの経済的なつながりである市場規範の世界では、「Win-Win以外はNo Deal」を徹底した方がうまく行くでしょう。
ビジネスの世界では、お互いにとって利益が見込める場合だけ取引すればいいのです。
お互いにとって利益になる良い取引条件を模索しますが、もしその条件が見つからない場合は、無理に取引しない方がいいのです。
Win-Win以外はNo Deal(取引しない)ことが結局お互いにとって有益になることを相手に伝えれば、無理に取引する必要がないことを理解してもらえるはずです。
市場規範の世界では、ときには「取引しない」という選択肢(オプション)も有益であることを忘れないことが重要です。
まとめ
市場規範の世界では、Win-Winの取引ができないようであれば、無理に取引する必要はありません。
Win-Win以外ならNo Deal(取引しない)ことが、お互いにとって有益な選択になり、人間関係もうまく行きます。
市場規範で動くビジネスの世界では、Win-Win以外で取引しても、経済面、関係性などにおいて、どちらかに、あるいは双方に不利益をもたらすことになるでしょう。
Win-Winになる方法を見つける努力は必要ですが、「Win-Win以外なら取引しない」というオプションを常に念頭に置くことが重要です。
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