仕事のタスクや、家事、やりたいことなどを効率良く行うために、ToDoリストを作成したことがある人は多いのではないでしょうか。
ToDoリストは、やるべきことを忘れないようにするためには役に立ちますが、その一方でリストに書いても実行されないタスクも多いという欠点もあります。
ToDoリストには時間の概念がないので、つい書きすぎてしまい、実行できないタスクが多くなってしまうのです。
ToDoリストの欠点を補うためには、時間の要素を加えたもの、つまり「タイムスケジュール表」を作ればいいのですが、実際に「タイムスケジュール表」を作るのには、時間がかかります。「タイムスケジュール表」は数分で作れるような代物ではありません。
仮に時間をかけてタイムスケジュール表を作ったとしましょう。しかし、物事は計画通りにいかないのが世の常です。たった一つでも予定が狂うと、その後の予定が成り立たなくなってしまい、せっかく手間暇かけて作ったタイムスケジュール表がほとんど役に立たないということにもなりかねないのです。
せっかく時間と労力をかけて作ったものでも、実際にはあまり役に立たないのであれば、あまりに非効率的過ぎです。
では、一体どうすればいいのでしょうか?
if-then(イフ・ゼン)方式のリスト
ToDoリストのように短時間で作れて、さらに実行する確率を高めるためには、ToDoリストに、「いつ、どこで」実行するのか、アクション・トリガー(行動の引き金)になる要素を加えたリスト「if-then方式のリスト」を作成すればいいのです。
「if-then方式のリスト」の作成にかかる労力は、「ToDoリスト」以上、「タイムスケジュール表」未満ですが、実行する確率が高くなるので、時間対効果を考えると、一番効率の良いものと言えます。
ToDoリストのように、実行したい事柄をただ書き出すよりも、if(状況や手掛かり:いつ、どこで)と、then(それの後に続く行動:なにをどのようにするか)を書き出すと、実行する確率が格段に上がることがわかっているからです。
ニューヨーク大学の心理学者、ペーター・ゴルヴィツァーとヴェロニカ・ブランドスタッターは行動を促す上でif-then方式の実行計画を立てることが非常に効果的であることを発見しました。
その研究の一例を簡単にご紹介しましょう。
「期限までにレポートを提出すれば、追加の単位がもらえる」という学生を対象にした研究では、学生たちは提出の意思はありましたが、実際に書いて提出したのは33%の学生だけでした。
一方、あらかじめレポートを書く時間と場所をif-then方式で決めさせたグループの学生たちは、なんと、75%の学生が期限までにレポートを提出したのです。
33%と75%では大きな違いです。
if-then方式で計画を立てるのには、時間も労力もたいしてかかりませんが、たったのそれだけのことで、劇的に計画を実行する確率を高めることができたのです。
if-then方式は簡易的な習慣を作り出す
人は何かきっかけがないと、実行しなかったり、実行するまでに時間がかかったりしてしまうものですが、ifとthenをあらかじめ決めることで、行動を起こすきっかけを作り出すことができます。
例えば、ToDoリストに「30分間ウォーキングをする」と書いたとしても、実行されないということは多々あることでしょう。そのうちにやろうと思っていても、その時々の環境や状況で、何となく他のものに気を取られてしまったり、実行するタイミングを逃したりしてしまいがちです。そして、気が付けばあっという間に一日は終わり。結局、実行できなかったということになりかねません。
if-then方式で、「夕食後に30分間ウォーキングをする」というように「ifとthen」を決めておけば、夕食を食べ終わった後というのがアクション・トリガーになり、実行に移しやすくなるのです。
寝る前に歯を磨くなど、私たちは習慣になっていることは、あまり考えずに自動的に行動に移すことができます。if-then方式で計画を立てれば、それが「簡易的な習慣」のような役割を果たし、その時々であまり考えずに、まるで条件反射のように、あまり意思の力を使わなくとも実行に移すことできるようになるのです。
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