誰でも、他人に悪い所を直すように、あるいは今より良くなるように、アドバイスや注意をした経験をお持ちだと思います。
それでは、アドバイスや注意をしても、状況が良くならなかったという経験はないでしょうか?
これも大抵の人は覚えがあることだと思います。
実は私たちが一般的に行う注意やアドバイスというのは、多くの場合、何の効果もないものなのです。
そして、ただ役に立たないばかりではなく、お互いにとって不利益をもたらす結果になることが多いのです。
今回はその理由と、アドバイスに対する考え方についてお伝えします。
一般的なアドバイスは双方に不利益をもたらす
他人にアドバイスをしたり、注意をしたりするのは、「善意の気持ち」があるからですよね。
その人のためを考えて、その人のために良かれと思って言っているはずです。
しかし、一般的なアドバイスや注意の仕方、つまり、誤りを教えてあげたり、改善策を教えたり、というやり方は、効果がないばかりではなく、お互いにとって不利益をもたらしてしまいます。
なぜかと言うと、注意をされた側は、注意を受けたことで気分が悪くなるからです。
注意を受けて、良い気分になる人はまずいません。
アドバイスにしても、アドバイスをされるということは、「今の状態が悪いから直した方がいい」と指摘されたのだと、無意識のうちにも自分を否定されたと受け止められてしまいます。
ですから、アドバイスや注意を受けた人が、それに従うことはないでしょうし、注意をした人に対して、悪感情を抱くことになるのです。
アドバイスや注意をした人は、善意の気持ちから、せっかく注意をしたのに、それによって相手が何も変わることがないので、その気持ちも報われません。
そして、注意をした相手から悪感情を抱かれることになるので、お互いの関係性は悪くなってしてしまいます。
なぜアドバイスは効果がないのか?
人は自分の考え、信念によって行動しています。
自分の中にある信念や行動基準と言うのは、自分が人生を歩んでいる途中で選んで身に付けてきたものです。
その築き上げた信念は、自分だけのものであり、自身そのものと言ってもいいでしょう。
その信念を他人が違うと指摘したら、自分自身を否定された気持ちになり、嫌がられるだけで、何も変えることはできません。
人が行動を変えるのは、今まで信念として信じてきたことを、自ら変えるときだけです。
ですから、本人が、心からそうしたいと望まない限り、他人がいくら言ったところで、行動が変わることがないのです。
私もアドバイスされることに対して、知人から相談を受けたことがあります。
知人の会社の有志で行うBBQなどの催し物に、知人は参加したくないので、いつも参加をしていないそうです。
そのことに対して、知人の先輩は催し物があるごとに、「会社の催し物には出た方が良い。なぜなら~」というアドバイスを、いつも何度もしてくるのが、嫌だということでした。
知人はこの先輩に対して、「うるさく言ってくる人」として、悪い印象を抱いているようです。
おそらく、この先輩は知人に対して、催事に参加した方が、知人のためになると思って、何度も言っていたのだと思います。
しかし、その結果は、アドバイスが役に立っていないばかりではなく、知人から悪感情を抱かれるという不利益を被ることになっていたのです。
アドバイスを行っても良い場合
お互いにとって不利益になるのなら、アドバイスなどしない方が良いのでしょうか?
その答えは、大体の場合においては「YES」です。
なぜなら普通の人は、アドバイスされることを望んではいないからです。
そして、もともと人は、他人から指摘された場合には反発し、自分の考えを変えにくいという性質を持っています。
他人からの指摘は、自分を否定されることと同じなので、それに対して、「そんなことはないだろう」と自己弁護する気持ちが生まれるからです。
したがって、もしアドバイスをしたいと思っても、双方にとって不利益になるということを思い出して、アドバイスを行わない方がお互いのためです。
アドバイスを行うのは、自分がアドバイスをしようと思ったときではなく、他人からアドバイスを求められた場合にのみするようにすれば、まず間違いはありません。
どうしてもアドバイスをしなければならない場合は?
相手から求められていないのに、どうしても、アドバイスや注意を与えなければいけない場合もあると思います。
特にリーダー的な立場にある人は、そういう場面が多いと思います。
その場合は、ただ、アドバイスや注意を与えるのではなく、相手のことを理解し、思いやりの気持ちを持って、相手のメリットになること伝える必要があります。
もし、今の状態を変えたら、こんなに良い結果が生まれますよと言うことを伝え、そして、どうしたらその状態になれるのか、相手が知りたいという欲求が起こるようにしなけらばなりません。
相手が、そうなれるための方法を教えて欲しいと言い出したら、そこで、初めてアドバイスや注意をしても効果が出る状況になったと判断できます。
ここでも、相手のことを考え、思いやりの気持ちを持って、一方的な押し付けではないアドバイスや注意を与えるようにします。
こうすれば、アドバイスや注意が生きる可能性は高くなります。
しかし、それでも、相手は変わることがないかもしれません。
他人にアドバイスをして、その行動に変化を起こすには、生半可な気持ちでは無理だということを頭に入れておかなけばなりません。
相手に変わって欲しいのであれば、本当に相手の気持ちを理解し、相手に対する深い思いやりの気持ちと、時間とエネルギーをかける根気が不可欠です。
まとめ
好ましくない点を指摘するという一般的なアドバイスや注意を行っても、ほとんどの場合は何の役にも立ちません。
多くの場合、ただ役に立たないばかりか、お互いにとって不利益になってしまいます。
他人がアドバイスに従うのは、他人がそのアドバイスに心から同意したときだけです。
アドバイスをするなら、相手を理解し、思いやりの気持ちを持って、相手にやりたいという欲求を起こさせなければなりません。
そのためには時間や情熱が必要です。
もし、そのような気持ちがないのであれば、アドバイスはしない方がお互いのためになります。
コメント