マナーとは礼儀作法のことですが、これは良好な人間関係を保つには不可欠なものです。
マナーはなぜ大切なのか、マナーがどのような影響を及ぼすのか、今回はマナーについて知っておきたい重要なことをお伝えします。
マナーは人格をつくりあげる
「良いマナーとは、良い振る舞いのことであり、それは礼儀正しさと親切心から成り立っている」という言葉が、サミュエル・スマイルズの名著「自助論」の中に出てきます。
礼儀というものは、人の内側にある人格や心の態度が行動として表われたものと言えますが、「心の態度」と「行動」は相関関係にあるため、礼儀作法(行動)をきちんと行っていれば、それに伴って人格や心の態度も形成されていきます。
立派な人格を持つ人は、総じて立派な行動(マナー)をするものですが、その逆も成り立ち、立派な行動(マナー)をしていれば、自然と立派な人格になっていくのです。
紳士的なふるまいをしていれば、心の中も紳士になっていきますが、マナー違反や礼儀を重んじない行動をしていれば、心の内側も好ましくない人間になっていくので、マナーはおろそかにできないのです。
マナーで人格を判断する
私たちは、他人の「人間性」や「人格」を、マナーの良し悪しによって直観的に判断しています。
特別に他人の人格を感じ取ろうなどと意識しなくても、人のマナーを見ると、無意識のうちにその人の人格を推し量っているものなのです。
例えば、タバコのポイ捨てや、歩きタバコをしている人を見かけたら、その人のことを全く知らなくても、それだけで悪い人間なのだろうと直観的に感じるものです。
あるいは、お年寄りに席を譲っている人を見たら、それだけで、この人は良い人なのだろうと感じるものなのです。
マナーの良し悪しは他人に与える印象を大きく左右するのです。
マナーの効用
礼儀は何のために必要なのかと言えば、良い人格を作るためや、人に与える印象をよくするだけではなく、人間関係を円滑にするためにも必要なのです。
論語に、「礼の用は、和を貴しと為す (れいのようは、わをたっとしとなす) 」という言葉があります。
これは、「礼儀の効用は、和を保つのに大きな役割を果たす」という意味です。
礼儀というものは、思いやりにも通じるものです。
礼儀を守って人に接すれば、争いになることはないでしょう。
礼儀を守ることは、人間関係を円滑にするための潤滑剤であり、マナー違反や無礼な態度は、人間関係を破壊する爆弾のようなものなのです。
近しい人にこそ礼儀を守るべきである
日本のことわざにも、「親しき仲にも礼儀あり」という有名な言葉があります。
その意味は、「あまり親しみが過ぎて遠慮がなくなると、不和のもとになるから、親しい間柄でも、礼儀を重んじるべきである」ということです。
これはとても重要なことですが、実際にできているという人は少数派ではないでしょうか。
ビジネス上のマナーができている人でも、親しい友達や家族などの近しい人達には、マナーがおろそかになっている例が多く見られます。
一番大切にすべき、近しい人に対して、礼儀をおろそかにしていては、良い人間関係は続きません。
それほど親しくない人に対しては、乱暴な口をきいたり、失礼なことは言わないと思いますが、身近にいる人には、平気で失礼な言い方をしている人が少なくないのです。
それは、親しいからという甘えもあると思いますが、知らない人に対して礼儀正しくするのと同じように、親しい間柄でも、礼儀正しい態度は守るべきです。
知らない人より、近しい人の方が大切な存在なのですから、むしろ近しい人にこそ礼儀を守るべきだとも言えます。
ここで勘違いしないでほしいのは、親しい人に対して、他人行儀に接しなさいと言っているわけではなく、親しい間柄でも礼儀は必要だと言っているのです。
例えば、仲の良い友達だから分かってくれるだろうという甘えから、お礼を言わなかったり、メールをもらっても返信をしなかったりしていたのでは、関係性にじわじわとヒビが入っていくことでしょう。
あるいは、家の外では、よく見られたいがために、世間向きのいい顔をしていても、家の中では家族に対して、ぶっきらぼうな言い方や、無礼な態度を取っていたのでは、家族関係はうまくいきません。
親しい人に対するマナーは、ついおろそかになりがちなので特に気を付けたいところです。
困窮した精神病患者のための本格的な精神病院を多数設立した、社会活動家のドロシア・ディックスは、「我々に意地の悪い毒舌を浴びせるのは、決まって家族だというのは、実に驚くべきことだ」という言葉を残しています。
まとめ
礼儀作法は人格を作り上げ、また、人間関係を良好なものにする上でも必要不可欠なものです。
無礼な態度を取ることは、人間関係や自分の人生を破綻へと導く行為に他なりません。
特に近しい人には礼儀をおろそかにしてしまいがちですが、良好な人間関係を保つためには、近しい人にこそ、礼儀を尽くす必要があるのです。
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