現代は、ストレスを感じて生活している人が本当に多いです。
例えば、教職員を対象とした2018年の厚生労働省の調査によると、業務に関連するストレスや悩みがある(あった)と回答した割合は80.7%でした。
職場などで、メンタルヘスル講習を受けたり、ストレスチェックをしたことがあるという人も多いのではないでしょうか?
一昔前までは、ストレスは軽く考えられていましたが、現在では重要視されています。
ストレスは、あらゆる病気の原因になるからです。
ストレスが原因で、頭痛や吐き気、腹痛や胃痛などの体調不良を招いたり、過剰なストレスが加わると、死に至るケースもあります。
WHOの統計によると、心臓麻痺の死亡者数は世界で年間1700万人に上り、そのうち25%は、過剰なストレスが原因だと考えられています。
世の中が複雑化し、移り変わりの激しい現代では、ストレスの原因になる刺激に満ちているので、ストレスにうまく対処できなければ、良い人生は送れなくなってしまいます。
そこで今回は、ストレスを解消し、ストレスフリーな人生を手に入れる方法についてお伝えします。
一般的なストレス解消法は効果がない
一般的にストレス解消法として、挙げられることが多いのは、お酒やタバコ、食べたり、飲んだりすること、ギャンブル、ゲーム、インターネット、買い物、TVや映画を見ることなどです。
しかし、これらの行為は、興奮や快楽を満たそうとする行為であり、ストレスを解消する効果がほとんどありません。
これらの行為が本当にストレスを解消するのなら、ストレスを感じる人は、ほとんどいなくなっているはずですが、現実はそうではありません。
ストレスフルな日常を解消したいという人が多いというのが現実です。
アメリカの心理学協会は、最も効果が「低い」ストレス解消方法として、お酒やタバコ、ゲーム、インターネット、ショッピングなど、初めに紹介した方法を挙げています。
実際にはストレスを解消しないのに、なぜ、多くの人々がこれらの行為がストレス解消になると感じるのでしょうか?
それは、人はストレスを感じると、脳が報酬を求める状態に切り替わるからです。
ストレスを感じていないときには、ケーキやチョコレートをたくさん食べたら、体に良くないし、それがストレス解消にならないことは分かっているのですが、ストレスを感じている状態では、脳は報酬を期待できるものがとても欲しくなっているので、お酒やタバコ、ケーキやチョコレートなどの誘惑を普段よりもずっと魅力的に感じてしまうのです。
ストレスを感じると、たとえそれがストレス解消にならなくても、安易な報酬が期待できる行為を取りやすくなってしまうのです。
お酒やインターネットやゲームなどをしても、快楽や刺激、興奮などの報酬は得られても、体内のストレスホルモンは減らず、ストレス解消にはならないのです。
最も効果的なストレス対策は運動である
運動をすると、脳に酸素が供給され、体に前向きな影響を与えるような脳内化学物質やホルモンの分泌が促進されます。
また、体内のストレスホルモンを減らして治癒反応や、弛緩反応を起こします。
その他にも、数多くの研究によって様々な理由が挙げられていますが、運動にすることはストレスに対して大きな効果をもたらすことがわかっています。
カールスルー工科大学の実験では、1回30~60分の軽いウォーキングを週2回行った学生のグループは、何も運動しなかった学生のグループに比べて、ストレスが減り、期末テストの成績も向上したということです。
椅子から立ち上がって数分歩くだけでも、ストレスが激減したという研究結果もあります。
運動をすると不安を取り除いたり、うつ状態を改善するという効果もあります。
薬を飲むことより運動をした方が、うつ状態が改善したという報告がいくつもあるのです。
このように運動は、ストレス解消に大きな効果がありますが、さらに良いお知らせがあります。
運動をすると、ストレスが解消するだけでなく、ストレスに対して強くなるのです。
ストレス解消法というのは、風邪をひいたときに、葛根湯を飲むと言うような、症状が出た後に行う対症療法ですが、ストレスに強くなるというのは、風邪をひきにくい体になるのと同じで、ストレスがかかっても、それが負担に感じにくくなるということです。
つまり、根本的なストレス対策になるのです。
運動をすると、なぜストレスに強くなるのかと言うと、運動をすることで、体のストレス対策システムが鍛えられるからです。
人間の筋肉や臓器は脳とつながっており、神経系統を通してやり取りを行っています。ストレス対策システムは、このやりとりがスムーズに行われないと、うまく機能してくれません。
運動をしなければ、このやりとりがうまく行かなくなりますが、運動をすると、脳と体のつながりが強化されるので、やり取りがうまく行くようになり、ストレス対策システムが強化されるのです。
脳トレは効果なし!運動すれば脳の機能も向上する
運動は脳の機能全般に良い影響を及ぼします。
ランニング、ウォーキング、ダンス、ヨガ、水泳、スポーツ、筋トレ、どんな運動でも、心身に良い影響を及ぼし、脳の機能がアップすることがわかっています。
一時期、脳トレブームが巻き起こりましたが、パズルや数独、ゲームなど、どのような脳トレを行っても、脳トレとして行った特定のこと自体はうまくなっても、一般能力は向上しないことが多くの研究結果によってわかっています。
つまり、脳トレとして、数独を行っていたとしたら、数独を解く能力は向上しますが、それによって脳機能が全体的に向上することはないのです。
脳トレを行う目的が暇つぶしや、単純に楽しむためならいいのですが、脳の機能を向上させる目的で、パズルなどの脳トレを行っても効果がないのです。
今現在、脳の機能が全体的に向上することが研究によって証明されているのは、運動しかありません。
知的な能力を長く保つために一番良いのは、脳を鍛えることではなく、運動をすることです。
このことは直観的には信じられないかもしれませんが、脳の機能向上ためには、脳を直接鍛えることより、体を鍛えた方が効果があるのです。
今では精神医学や脳科学研究者の間では、運動が脳の機能を高めることは周知の事実になっていますが、一般的には、まだまだ浸透しているとは言えません。
ハーバード大学で精神医学を研究しているジョン J. レイティは、著書「脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方」の中で、運動は、疑いなく脳にとって最高の強壮剤の1つであり、気分障害、ADHD、依存症、更年期障害、アルツハイマー病などあらゆる疾患に対して、運動が最高の予防法であることを説明しています。
運動は、ストレス解消とストレス予防に効果的で、あらゆる病気の予防になる確実で効果的な方法です。さらに、脳機能を向上させます。
この事実を知って、運動をするか、しないか?
運動することが体に良いということは誰もが知っていますが、ほとんどの人は運動の価値と、運動による効用を軽く考えているため、実際に習慣として運動を行っている人はごく少数です。
過度のストレスのない、ストレスフリーな人生を送れるか、ストレスに耐えながら人生を送るのかの大きな境目は、運動を習慣化するかしないかにあります。
健全で良い人生を送るためには、「運動」は絶対に欠かせない要素なのです。
運動をするときに気を付けなければならないのは、初めから、運動強度が強い運動を始めないことです。
例えば、現在、全く運動をしていない人が、急に毎朝ランニングを始めたりすると、膝を痛めたり、肉離れになったりと、ケガをする可能性があります。
私の知人にも、毎日ランニングをするようにしたら、脚が痛み出し、数カ月痛みが取れなかったという人がいました。
習慣的に運動をしていない人は、自分の運動能力を過信したり、いきなり欲張ってたくさんの運動をしようとしたりするのではなく、軽い運動から始めてみましょう。
週2回、30~60分のウォーキングでも、ストレスが減少したという研究結果もあるので、初めは30分以上のウォーキングを週に2回することを目標とするくらいが良いでしょう。
まとめ
ストレスを感じている人は、今すぐに運動を始めるのが最も効果的です。
運動はストレス解消にもなり、また、ストレスに強い体を作ります。
さらに、脳の機能がアップすることがわかっています。
運動をするときに気を付けなければならないのは、ケガ予防のために、初めから、運動強度が強い運動を始めないことです。
自分の体力に合わせた強度で運動を始めることが重要です。
まずは、30分程度の軽いウォーキングを試してみるのがオススメです。
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