新型コロナウイルスの危険性はどれくらいか?リスクの大きさがわかる法則とは?

コロナウイルス 心身の健康・幸せ

現在、連日のように新型コロナウイルスのニュースが報道されているので、自分も感染しないかと心配したり、外出することに不安に感じている人も数多くいます。

しかし、ニュースを毎日チェックしたり、メディア情報に踊らされて、むやみやたらに心配する必要はありません。

 

なぜなら、報道の多さと危険性の高さとは全く相関関係がないからです。

 

今回は、報道とリスクの関係性についてお伝えします。

報道回数が多いと危険性が高いと錯覚してしまう

ウイルス報道におびえる人

メディアで報道される回数が多い事柄は、さも重要なのだろうと錯覚してしまうものですが、危険性が高かったり、重要だから報道の回数が多いわけではなく、メディアは単に視聴率が取れる事柄だからたくさん報道しているだけなのです。

 

それは、過去を振り返ってみればわかることです。

 

過去には、SARS(サーズ)、MERS(マーズ)、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)、放射能汚染など、数年おきに新たなる危機が大々的に報道されてきましたが、報道の多さと危険性の高さの間には全く相関関係はありませんでした。結局どれも、報道で騒がれたほどの危険性はありませんでした。

 

2009年の新型インフルエンザは、WHOがパンデミック(世界的大流行)を宣言し、日本でも大騒ぎになりました。毎日、感染者がどこで何人出たというような報道あり、新たなる脅威に多くの人が戦々恐々としていました(追記:今回の新型コロナウイルスも全く同じ状況になってきました)。

 

私の周りにも新型インフルエンザに感染した人はいましたが、世の中の多くの人と同様に重症化することはなく、季節性のインフルエンザと症状が変わるようなものではありませんでした。

 

新型インフルエンザの致死率は、その後の分析によって季節性インフルエンザ並みか、それ以下とされ、現在では季節性のインフルエンザとほぼ同様の扱いになっています。

 

新型インフルエンザのニュースがさかんに報道されていたときには、世の中全体が過剰に反応している感がありましたが、過ぎてみればわかるように、ウイルスの型が新型であっても、季節性のインフルエンザ以上に警戒したり、恐れるようなものではなかったのです。

私たちにとって危険性が高いものは何か?

危険標識

風邪やインフルエンザに対しては、敏感になったり、不安を感じているという人は多くありません。

 

しかし、新型インフルエンザやSARSに不安を感じている人は多くいました。

 

それは既に述べたように、報道回数が多かったので、危険性が高いものとして認識していたことと、ウイルスによって多くの人が死ぬのではないかという恐怖から生じたものです。

 

死に対する恐怖は誰もが持っている恐怖心ですが、死亡リスクから言えば、このようなウイルスよりも、ずっと危険性が高いものは、身近にたくさんあります。

 

たとえば、SARSが流行したときに死者数は世界中で774人でした(WHO発表による)。

 

一方、交通事故では、世界で年間135万人が死亡しています(WHOの2018年度報告による)。

 

交通事故は、5~29歳の若者世代の死因第1位となっており、ウイルスなどによる危険性より統計的に見ると、桁違いに危険であり、はるかに死亡リスクが高いといえます。

 

しかし、交通事故による死亡リスクが高くても、その危険性や死亡者について数多くの報道が行われることはないので、私たちは交通事故に対して不安を感じることはありません。

 

一方で、新型コロナウイルスや新型インフルエンザなどは、報道される回数が多く、毎日、「感染者や死亡者が何人出た」というような情報だけを大きく取り上げて報道するので、そのような報道に毎日接していれば、自分にも起こるのではないかと不安を感じやすくなってしまうのです。

 

私たち人間は、自分の身に起こりそうな危機には敏感になり、注目してしまうものです。

 

メディアはこのような人間の持つ恐怖に対する心理を利用して、本来ならほとんど懸念に値しない対象を大きく取り上げて、人々の不安をかき立てるものなのです。

 

メディアにとってみれば、そうすることによって視聴率増加などの利益を生じさせ、商売上有益となるからです。

メディアにおけるリスク伝達の第一法則

警告する

リスクリテラシーの第一人者であるマックス・プランク人間発達研究所の所長、ゲルト・ギーゲレンツァーは、アメリカで年間100万人近くの死因となっている喫煙や運動不足に関する報道はほとんどされないのに、アメリカで死者が10人にも満たなかったSARSやバイオテロの報道は合わせて10万件を超えたという過去の事実を一例として挙げて「メディアにおけるリスク伝達の第一法則」を、次のように書いています。

 

「健康リスクに関するメディアの報道が多ければ多いほど、市民にとっての危険性は低い」

 

つまり、メディアの報道が多ければ、私たちにとってそれは危険ではないものだと思えば良いのです。

 

メディアは、交通事故や、あるいは喫煙や運動不足というような、もうすでに分かっている大きなリスクよりも、それよりもはるかにリスクは小さくても、人々の関心を集める新たなる危機に見えるものを取り上げて大々的に報道するものなのです。

 

ですから、今後も新たに健康リスクに関する情報は報道されるでしょうが、そのような報道を見ても、不安になったり、過剰に反応したり、マスクを大量に買い込んだりする必要はないのです。

 

確率論で言えば、それによって死亡する確率は限りなく低いのです。

 

新型コロナウイルスに限らず、この先どのような危機が報じられても、そのリスクが、喫煙による死亡リスクや交通事故による死亡リスクを超すことはないでしょう。

 

普段生活していて交通事故に遭うかもしれないと不安を抱えて生きている人はいないでしょうが、それと同じようにリスクに対して、起こり得る可能性を考えて生活すればいいのです。

 

新型インフルエンザなどのウイルスによって死亡する確率は、交通事故で死亡することよりもはるかに確率が低いので、交通事故に遭うことを心配する以上の心配をする必要はないのです。

 

TVやインターネット、新聞などの報道を見て、その期間の長さや、報道の数の多さによって、事実より大きな危機が迫っているように認識してしまい、余計な心配する方が心身にダメージを与え、はるかに健康リスクがあるといえます。

 

報道回数が多いことほど私たちの危険性は低いと心得て、余計な心配せずに生活しましょう。

 

※念のために書いておきますが、「余計な心配せずに生活しましょう」というのは、普段通りに、飲み歩いたり、カラオケに行ったりしてもいいということではありません。

 

不要不急の外出をしないことや、3密(密閉空間、密集場所、密接場面の重なり)を避けることなど、感染しないように努めるのはリスク管理の面から考えても当然のことです。その上で、「自分も感染しそうで怖い」などと、余計な心配をしない方がよいと言っているのです。

 

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