”正直さ” を大切にしたい人が知っておくべきこと

改善・向上

人生において、「正直さ」は重要であると考えている人がほとんどでしょう。

アメリカで36,000人の高校生を対象にした調査によると、 98%が正直であることが重要だと回答しました。

正直さを失わないためには、正直さの対極にある、 「不正、嘘、ごまかし、ずる」などを
しないことが重要です。

これには、誰も異論はないでしょう。

しかし、不正について知らないと、 自分では不正とは気付かないうちに、 日常の中で不正を行ってしまっているかもしれません。

今回は、不正直者にならないために知っておくべきことをお伝えします。

不正について知っておくべきこと

1.機会が与えられたら、多くの人は不正をおこなってしまう

私たちの多くは、普段は不正をしようなどとは考えていません。

しかし、不正を行う機会があれば、 不正を行ってしまう傾向にあります。

ダン・アリエリー教授が行った、「ごまかし」に対する 実験でもその結果は明らかでした。

実験の内容は、学生に20問の簡単な数字探しの問題をしてもらい、 1問正解するごとに、
50円程度(50セント)の報酬がもらえるというものです。

学生は2つのグループに分けられました。 一つは、テストを終えた後、
解答用紙を提出するグループ。

もう一つは、テストを終えた後、解答用紙を提出しなくていいグループ。
このグループは、解答用紙は破り捨るように言われ、正答数を伝えるだけです。

結果はどうなったでしょうか?

解答用紙を提出しなくていいグループの方が、明らかに正答数が多かったのです。

解答用紙を提出する、ごまかしが不可能だったグループの平均正答数は3.5問でしたが、
正答数を伝えるだけの、ごまかしが可能なだったグループの平均正答数は6.2問でした。

この結果から、少数の不正直な人が全体の平均を押し上げたのではなく、
大多数の人がごまかしをしたことが分かりました。

つまり、チャンスがあれば、多くの人がごまかしをしてしまうということです。

 

2.自分で思っているより簡単に不正をおこなう

多くの人は、チャンスがあれば、不正をしてしまいますが、 不正を行う前には、自分たちが不正を行うとは、予想していません。

しかし、実際に不正を行う機会が訪れると、不正をしてしまいがちなのです。

保険加入者は、家や車を失ったと申告するとき、10%程度、 損害額を水増しすると見積もられています。 保険加入時は、水増し請求しようなどとは思いもしませんが、 実際に請求する場面になったときには、水増しを行ってしまいがちなのです。

例えば、無くなったものの購入金額を少し高く記入したり、 交通事故で、車に元々ついていた傷も、 事故で傷ついたと申告したりというように。

 

3. 不正を働くか否かの境目はどこにあるのか

不正を働くか否かの境目は、「不正が正当な理由であると、 自分自身を納得させられるかどうか」です。

人は不正を行うときに、悪いことをしているという感覚はありません。

「これくらいなら良いだろう」という気持ちです。

そして、私たちは、ちょっとした不正行為を正当化する能力が高いのです。

「誰だってしていることだ」

「当たり前のことだ」

「これくらいの権利は、当然だ」

出張経費の水増し請求したり、個人的な食事を経費で落としたり、会社の鉛筆を借用したり...

小さなごまかしであろうと、大きな犯罪であろうと、 本人は正しいと思って行っています。

 

デール・カーネギーは、「人を動かす」の中で、このように書いています。

私は、シンシン刑務所長から興味のある話を聞かされた。

およそ受刑者で、自分自身のことを悪人だと考えている者は、 ほとんどいないそうだ。

自分は一般の善良な市民と少しも変わらないと思っており、 あくまでも自分の行為を正しいと信じている。

なぜ金庫破りをしなければならなかったか、あるいは、 ピストルの引金を引かねばならなかったか、 そのわけを実にうまく説明する。

犯罪者は、たいてい、自分の悪事にもっともらしい理屈をつけて正当化し、
刑務所に入れられているのは不当だと思い込んでいるものなのである。

 

不正を正当化できる許容範囲は人それぞれ違いますが、 大きなものでも、小さいものでも、不正を働くか否かの境目は、 不正が正当であると、自分自身を納得させられるかどうかにかかっています。

自分自信で正当化できれば、自分を不正直な人間だと思うことなく、不正直な行為ができてしまうのです。

 

正直であるために

1. 人は機会があれば不正を行いやすいと知る

私たちは、ちょっとした不正行為を正当化する能力が高く、 不正をする機会があれば不正を行いやすいという事実を受け入れ、 不正を行わないように気を付けなければいけません。

自分は大丈夫と思わずに、誰でも機会が訪れれば、 不正を行ってしまいがちだと自覚しすることです。

2.自分自身をどう見るか

不正や、ずるや、ごまかしをしようという誘惑に打ち勝つには、 常に立派で正直な人間であることを心がけることです。

真の正直者であろうとすることです。 真の正直者は、行動の規準を常に高い所に持ち、不正を嫌います。

他人が自分をどう見るかではなく、 自分には自分がどう見えるかを判断の規準にします。

誰かに見られているからなどという他人の目ではなく、 自分自身の目、自分にしか見えない品性を大切にします。 自分にしか見えない品性を大切にすると言うのは、こういうことです。

ある少年は、果樹園で、誰も見ていなかったのに、 リンゴをポケットに入れるようなことはしませんでした。

その少年に、「誰も見ていないのに、どうして取らなかったの?」 と聞いたら、こう答えました。

「誰も見ていないわけではありません。僕が見ています。
僕は自分が悪さをしているところなど、見たくはなかったのです」

 

まとめ

私たち人間は、機会が与えられたら、不正を行ってしまう傾向にあります。

不正をする機会がない時には、自分が不正を行ってしまう 可能性があることを予測できません。 しかし、実際に不正を行える機会があれば、 自分で考えているより、簡単に不正を行ってしまうものなのです。

不正を働くか否かの境目は、不正が正当な理由であると、 自分自身を納得させられるかどうかにかかっています。

不正を行わない人間になるためには、このことを念頭に置き、 行動の規準を高く持つことです。

嘘やごまかしを嫌い、正直で、まっすぐな行動を良しとするのです。

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